エコプロダクツ2014 とは
世界が関心を示す温室効果ガス削減に対するわが国の姿勢
今年3月に開催された政府間パネル(IPCC)の総会では、現状ペースで温室効果ガスの排出が続くと、極端な自然災害や生物種の減少などのリスクが高まるとの指摘がありました。このように温室効果ガス削減は待ったなしの状況ながら、日本での取り組みは後退気味です。9月に行われた気候変動サミットでは、温室効果ガスの二大排出国である米国と中国が前向きに対策を進めることを明らかにしており、わが国の今後の姿勢がますます問われています。
このような中で開催された今年のエコプロダクツ展には、3日間で合計161,647人の方々が来場しました。今回も各業界を代表する企業、世界で活躍するNPO・NGO、様々な知見を創造する学術・教育機関、行政・自治体など、多様なステークホルダーが出展し、幅広い層の人たちと共にエコについて考えました。


テーマは「見つけよう!未来をかえるエコの知恵」


今回のテーマは「見つけよう!未来をかえるエコの知恵」。エコプロダクツの会場には、最先端の科学技術から、日常生活でのちょっとした工夫まで、さまざまな「知恵」が集結。
エネルギーをテーマにした展示ゾーン「エネルギーイノベーション」やビジネスエリアの拡充、災害に負けないエコな住まいとインテリアを提案する「スマート&美防災」、クイズや来場者参加型の企画展示を通じて、エネルギーを賢く使うスマートライフについて学ぶ「エコラボレーションプラザ」など、多彩なテーマゾーンと新たな企画を多く用意し、充実した情報空間を提供しました。
また体験型のワークショップでは、残布で動物をつくったり、間伐材を使ったはがきに自由に絵を描いたりなど、大人も子供も夢中になって取り組んでいる姿が見られました。
会場内を専門家と一緒に回れる見学ツアーも開催!

当日は、ご当地資源やエネルギー活用、生活に欠かせないエコプロダクツ、エシカル(社会倫理に基づいた企業活動、消費行動)等テーマごとに各分野の専門家と一緒に会場内を見学できるツアーも開催。場外では、東京都の職員と共に「海の森」を見学するツアーも行われました。この見学ツアーでは、ごみと建設発生土の埋立地にて、どのように植樹活動を行い、森づくりが進められているのか。職員による丁寧な解説と共に、参加者はエコについて深く考えることができました。ツアー終了後は、「プロダクツだけではなく、背景となる社会状況にも触れ、的を絞った丁寧な解説でよく理解できた」「一人で回ったら立ち寄らないブースのことも、知ることができてありがたかった」など喜びの声が多く集まりました。
出展社インタビュー
「環境と産業の矛盾なき共存」を追求する部品メーカー– サンデン株式会社 –


今回、「エコ&デザインブース大賞」特別賞を受賞したサンデン株式会社。森の香りを感じさせる落ち着いた空間には、子ども向けの森の教室から、蓄冷エバポレータ、電動コンプレッサ、ヒートポンプ自動販売機など自社製品の展示まで、誰もが楽しめる演出が行われていました。
今年は自社のコンセプトである「環境と産業の矛盾なき共存」をテーマに出展。「メーカーにとって環境保全は相反するテーマかもしれないけれども、あえてそこに取り組みたい」と担当者も話します。
展示スペースに設置されたサンデンフォレストの間伐材も、展示会終了後、事業所に持ち帰り、再利用する考え。フロンを使わない給湯器や業界最高圧となるエコキュートなど環境負荷の低い製品開発に努めるサンデン株式会社の今後に注目です。
二酸化炭素排出量ゼロを目指すカーボン・オフセット推進運動– 環境省 市場メカニズム室 –


2008年から始まったカーボン・オフセット制度。これは、温室効果ガスの排出量をできるだけ削減し、対応できない分量に関しては、同内容の活動に資金提供することで埋め合わせをする考え方です。イギリスを始めとしたヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどで盛んに行われており、日本でもその取り組みは広まりつつあります。
現在は、企業へのカーボン・オフセット商品の開発提案を中心に、取り組みに関する情報収集・提供、相談支援等を行っている環境省。
国内では、まだ聞き慣れない「カーボン・オフセット」ですが、今後、市場で目にする機会も増えるはず。商品を購入したり、サービスを利用したり、イベントに参加したりするだけで、環境にも貢献できるなんて何だかお得ですね。
「エコ&デザインブース大賞」最優秀賞受賞のシステム– 鹿沼商工会議所 –


江戸時代から伝わる木工産業と、金属加工業で栄えてきた栃木県鹿沼市。その鹿沼の豊かな森林資源と加工技術が融合して新たに生まれたプロジェクトが「WOOD IN FILL」です。
「WOOD IN FILL」では全国の木材資源を利用して部屋の中にもう一つの部屋を作り出す空間手法「BOX in BOX」で、木の温もりあふれる組み立て式の空間を構成。ふすまや障子、欄間など日本一の建具の産地である鹿沼の技術を生かして、「洋」の空間に日本らしい「和」のデザインを組み込んでいます。
「将来的には都内のオフィスビルを中心にこのシステムを取り入れていきたい」と話す担当者。安価で、工期も短く、空間そのものをリサイクルできる。こんな夢のようなシステムが販売されるのが今から待ち遠しいです。
酒パック・アルミ付き紙パックのリサイクル活動– 特定非営利活動法人 集めて使うリサイクル協会 –


酒パック・アルミ付き紙パックのリサイクルを推進する特定非営利活動法人集めて使うリサイクル協会。かつてはリサイクルが難しかった酒パック・アルミ付き紙パックも現在はリサイクルが可能に。近所のスーパーや生協、酒屋、製紙メーカーなどに設置されている回収ボックスに出せばトイレットペーパーなどの再製品になるのです。
本ブースで使われている紙は、3年前からすべて酒パック・アルミ付き紙パックのリサイクルによる再製品。本ブースのみならず、周囲でも同様の再製品を利用する出展社が増えているそうです。酒パック・アルミ付き紙パックは、内側のアルミや外装のフィルムも燃料として使えるため、リサイクルできないところは一切なし! ゴミを減らすためにも、皆さんもぜひ一緒にこの取り組みに協力していきましょう。
非常時でも安心して水を飲める飲料水貯留システム– 積水化学工業株式会社 –


今回、お話をうかがったのが、非常時用の飲料水貯留システム。大地震などで断水が起きても水が飲めるように床下に設置する飲料水貯留槽です。本製品は、オールプラスチックのため、サビなどによる腐食もなく、メンテナンスフリーで常に清潔な水を備蓄可能。また重量が軽いため、導入も簡単。設置場所は床下の配管スペースのため、居住スペースが狭くなることもありません。
目玉機能は、蛇口からの取水。非常時でも、ポンプで空気を送り込むことによって、平常と同じように洗面台や台所から水を取り出すことができます。「こんなシステムがあったらいいな」という発想が具現化された本製品。ハウスメーカーを中心に予想以上の好評を博しています。