<展示会レポート>ファッションビジネスの出会いの場 JFW-IFF 2015 期間:2015年1月21日(水)~1月23日(金)

BtoBのファッションビジネスに特化した日本最大の服飾市

国内外のファッション業界関係者が集う専門展

ファッション業界で働く人ならお馴染みの繊研新聞社主催のファッションビジネスの総合展、それがJFWインターナショナル・ファッション・フェア(JFW-IFF)です。「モードとビジネスの出会いの場」をテーマに2000年よりスタート。出展社は服、アクセサリー、雑貨、オーダースーツといったファッション製品を取り扱う企業から個人のデザイナーまで幅広く、来場者層は全体の7割をセレクトショップ、専門店のバイヤーが占め、バイヤーだけで5,367人の来場を記録しました。他にも百貨店、量販店、ディベロッパー、メーカーの関係者らも来場。満足度も高く、毎回足を運ぶ人も多いファッション業界では広く名の知れた展示会です。

また、2014年1月に発足したファッションのものづくり、売り場作りをサポートする「ファッションビジネス・ソリューション・フェア(FBS)」も同時併催。2015年1月度の全体来場者数はIFF、FBSと合わせて18,303人ものファッション業界関係者が訪れました。

JFWインターナショナル・ファッション・フェアの会場JFWインターナショナル・ファッション・フェアの会場

”新しい”を見つけるためのテイスト別ゾーニング

IFF2015では9つのジャンルに展示ゾーンを振り分けた「テイスト別ゾーニング」が大きな特徴です。ゾーンごとの特徴を明確にする事により来場者と出展社のコミュニケーションの質を高める事ができ、会場ではあちこちで数多くの商談が行われ、大きな賑わいをみせていました。

NATURAL LIFESTYLE
衣食住を大切にした天然素材を中心に用いたオーガニックなウェア、服飾、生活雑貨を提案。
ACTIVE&CASUAL Style
アメリカンカジュアルを中心にサーフ、プレッピー、ストリート、ロック、アウトドアをカバー。
URBAN ELEGANCE
ビジネスシーンにも対応出来る、ベーシックかつきれい目でエレガントな製品を紹介。
REAL LUXE
ファッション経験の豊かな大人達の為に“日常の贅沢”をテーマにした大人市場向け製品群。
ITEM STATION
様々なジャンルの洋服と合わせられる小物、ファッション雑貨を中心としたラインナップ。
MODE&DESIGN
デザイナーの個性が詰まった先鋭的なデザイン、シンプルながらもディテールにこだわった服を揃える。
INTERNATIONAL
工場機能提案を中心とした世界各国の出展企業を集めたゾーン。
DOG FASHION
ペットも含めたトータルファッションの提案としてペットグッズの取り扱いの拡大。
CV(クリエイターズビレッジ)
新たな才能との出会いの場として、小規模企業、個人クリエーター向けに展開。

出展社インタビュー

世界で一つだけの靴をウェブでオーダーメイド– アジアンコネクション株式会社 –

Web上でカスタムオーダーができる「tri=c」
アジアンコネクションの担当者

アパレル雑貨の企画・販売、ECサイト運営を全て自社で行っているアジアンコネクション株式会社。同社が今回打ち出していたのが自社ブランド「tri=c」。”Custom” “Color” make you “Creative”の3つがブランド名の由来です。「tri=c」最大の特徴は同社が運営するウェブショップ上で、好みのデザインのパンプスを選んだ後、カラー・素材・サイズ・ヒールの高さを全て自由にカスタムオーダーが出来る点です。

「ただ、商品を仕入れて売るのではなく”こんな靴が欲しかった”を提供したい。」商品を選んで買って貰うまでの過程にストーリーを作りたいと、代表取締役の片岡氏はそう語っていました。オーダーメイドツールが出来るまでは実際に靴に革をあてがって、といったようなアナログな手法がメインでしたがこれから大きく変わっていくのではないでしょうか。

ツールを導入してからまだ間もないがそのプロダクトを評価され、2015年2月28日にイタリアはミラノの世界最大級のファッション見本市、MIPAPにも出展。「tri=c」の勢いはますます加速していくことでしょう。

ジーンズについて知り尽くしたプロフェッショナルを育成– ジーンズソムリエプロジェクト事務局 –

ジーンズソムリエ認定証
ジーンズソムリエプロジェクト事務局の担当者

「ジーンズの販売員にこそぜひ受けて欲しい!」そう話す担当者はジーンズソムリエプロジェクト事務局の担当者。当局が打ち出す「ジーンズソムリエ」はジーンズを作るための全工程を理解した人が取得を許される資格です。消費者にジーンズの価値、魅力、価格の意味を体系立てて伝えるために資格を作り、事務局を発足。現在は岡山県アパレル工業組合と倉敷ファッションセンター株式会社が合同で運営しています。

岡山倉敷は全国シェア7割を占める学生服やオフィス用の制服を生産。そして世界的にも信頼されるジーンズの名産地です。人材育成、商品開発、海外進出等の業務を営み積極的にセミナーを開き、その理念に賛同してくれるパートナーを常時募集中。ジーンズソムリエ受験者は、これまでは企画・営業といったメーカーの人が多かったのですが、最近では当初の狙いでもある販売員からの受験申し込みが殺到。近い将来、我々の住む近くの洋服屋でもジーンズについて開発工程から説明、プレゼンが出来る販売員と会えるのではないでしょうか。

コストパフォーマンスに優れた若い女性向けアメリカンカジュアルを提案– 株式会社インデップ –

BRICOLAGE(ブリコラージュ)の商品
インデップの担当者

日々の暮らしの中で得たインスピレーションを落としこむ・・そんなコンセプトを持つ自社ブランドBRICOLAGE(ブリコラージュ)。立ち上がって3年弱、ターゲット層は20代から30代の女性、カラー・リラックス・ファニー・ナチュラルといったテイストをミックスし、枠にとらわれないファッションスタイルを提案。また、ターゲットの世代が取り入れやすいリーズナブルな価格も魅力の一つです。同社は広島の国産ニットのメーカーとしてスタートし、時代と共に洋服全般を手がけるようになり、現在は中国、バングラディシュに自社工場を構え、デザインは日本のチームで企画。

「ブリコラージュを知らない若い人に着てもらいたいです。」そう話してくれた担当の女性はアシスタントデザイナーを務め、展示していた多くの商品のデザインに関わっているそうです。元々、ミセス向けの商品を多く手がけている同社は今回、若者向けのブリコラージュを多くの人に知ってもらうため、あえて他のブランドを置かずにブリコラージュ一本で勝負とのことです。

オーガニックな素材を使った長く被られる帽子の数々– 株式会社並木伸好デザインルーム –

フランダースリネンを使ったハット
並木伸好デザインルームの担当者

先代の並木伸好社長が50年以上前に、婦人帽子専業の個人向けアトリエとして創業。初期は皇室向けのオートクチュールの帽子制作、ファッションショーを開催、そこから一般消費者に向けて量産体制を整え、NAMIKIとGRAND MAITRの2ブランドを展開し現在に至ります。小売での販売はしておらず、OEM、ODM、専門店、百貨店、Amazon等の卸売でのみ購入が可能。今回のオススメ商品はフランダースリネンを使ったハットです。フランダースリネンとはフランス、オランダ、ベルギーにまたがるフランダース地方を産地にしたオーガニックな麻。デザインはトレンドを追いかけるものは少なく普遍的ものが並びます。

「年齢、立場といったものは関係なく女性なら誰でも被られるものづくりをしています。」普遍的で良質な商品を生み出している自負を担当者のその言葉から感じました。短い周期で変わっていく流行をあえて追わず、過剰なデザインを排除し、被った時のシルエットや被り心地を大切にしたものづくりをしている同社の帽子。購入してかぶる人の生活に徐々に馴染んでいき、やがて一生ものとなっていくでしょう。

ペットボトルから色とりどりのフェルト素材にリサイクル– 株式会社青木商店/ノスタルジックガレージ –

ペットボトル再生生地を利用したトートバッグ
株式会社青木商店の担当者

今年で9年目になる株式会社青木商店の代表を務める青木文英氏が選ぶ生地の選定基準は“好きか嫌いか”。お客さんの驚く顔を見るのが好きで、今回のIFFでも「実はこのフェルト素材、ペットボトルから出来ているんですよ。」と取材陣を驚かしてくれました。使用済のペットボトルを再生素材に利用して作られた素材は、元がペットボトルだったとは思えない肉厚なフェルト生地に変わり、トートバッグ、ハンドバッグ、クラッチバッグ、ノートケースといった様々なアイテムに進化。また、それらのアイテムの隣には大量のペットボトルが並び、コンセプトでもある再生素材を視覚的にわかりやすく打ち出していました。

青木代表の生地とプロダクトへのこだわりは強く、厳選した日本の生地を度々ヨーロッパに持っていって生産。お客様が「欲しい」と思った時にすぐに届けたいと常に考えているようです。通常、納期に一ヶ月程度かかる海外生産が同社はその半分以下と非常に軽いフットワークで良質な製品を提供。祭り事が大好きな氏のブースには沢山の人が集まり魅了されていました。